欠陥住宅をつかんでしまったら…
注意をしてきましたが、欠陥住宅をつかんでしまった場合は、あわてずに次の手を打ちましょう。
どんな欠陥(=瑕疵)がどこにあるのか、そのためにどのような損害が施主にもたらされているのかを専門家に調査を依頼し、調査報告書を作成してもらい、それを契約当事者(業者、売主など)に渡して、瑕疵保障請求をします。
問題があるなと感じたときは、素人判断をせずに専門家に相談しましょう。
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カテゴリー
欠陥住宅の種類|瑕疵担保責任|注文住宅の場合|建売住宅の場合|マンションの場合|欠陥住宅の症状例|欠陥住宅の調査項目
1. 欠陥住宅の種類
欠陥住宅を大きく二つに分類すると、法令違反の建築と契約内容に違反した建築とにわかれます。実際の建築紛争では、法令違反を建築主(施主)が指示したとういう弁解が、業者からされることも多いですが、二つの側面から考えればよいでしょう。
建築紛争において、法令違反建築と契約内容違反建築の、どちらを立証するのが困難かといえば、契約内容違反の立証です。法令は勝手に改変できない基準であるのに対して、契約内容は当事者の合意で決定されるから、なにが最終決定か不明確な場合も生じてきます。
建築上のトラブルを少なくするためにも、業者とは書面でやり取りするのがよいでしょう。
2. 瑕疵担保責任
マンション・戸建て住宅を問わず、保証はどんな住宅にも設けられています。その保証のことを、建築では「瑕疵担保責任」といいます。契約書にかかれている「瑕疵担保」の項目で、瑕疵担保責任期間とその適用内容を確認しましょう。
瑕疵担保責任は、「民法」と「住宅の品質確保の促進等に関する法律(=品確法)」によって定められています。民法では、木造で5年、鉄筋コンクリート造で10年と定めてますが、実際には1~2年で契約しているケースがほとんどです(民法よりも契約が優先されます)
品確法では、住宅の構造上の主要な部分または雨もりの部分に対して、引渡したときから10年間となっています(ただし、2000年4月1日以降に契約した物件に適用される)
また、マンション、建売住宅など不動産業者から購入した場合、「宅地建物取引業法(宅建業法)」により、引渡しから2年以上となっているので、注意してください。
マンション・戸建て住宅の場合も、瑕疵担保責任期間内の補修は、売主もしくは請負業者に請求することが可能ですから、住みはじめて気づいた「欠陥」を、保証期間内に無償でなおしてもらいましょう。
多くの人が「欠陥だ」と気づく頃には、保証期間が過ぎてしまっていることは珍しくありません。
隠れた欠陥を保証期間内にみつけるためにも、第三者の専門家による1年目点検、2年目点検を実施することをお勧めします。
3. 注文住宅の場合
注文住宅で欠陥をみつけた場合、①契約書にかかれている「瑕疵の担保」の項目で瑕疵担保責任期間とその適用内容を確認し、②欠陥(=瑕疵)がどこにどのような状態で存在しているか書面で作成し、③契約当事者(売主、工務店など)に補修などを請求します。
なお、②の部分に関しては、素人にはみつけることが困難であることが多いため、第三者の専門家に調査して調査報告書を作成してもらい、その調査報告書をもとに交渉して下さい。
注意すべきことは、補修工事をするにあたり直し方を指示しないことです。
4. 建売住宅の場合
建売住宅は、一般的には不動産業者が販売しています。建売住宅の引渡し後に欠陥を発見したら、まずは売主である不動産業者などに欠陥部分の補修、損害賠償などを要求します。
万一、売主が補修に応じないなどのトラブルになった場合、専門家にみてもらって不適切な部分をピックアップし、写真と報告書を用意して、地方自治体の宅地建物取引業保証協会(各自治体に必ずある)に苦情申し立てをしましょう。保証協会では、販売した不動産業者に代わって、あなたの補修費用や賠償金を支払ってくれるのが建前となっています。
〔 保証協会のシステム 〕
消費者の申込み → 相談受付 → 苦情解決申し出相談 → 指導・調停による解決
◎解決不能 → 弁済業務へ移管 → 地方審議会(各都道府県) → 弁済業務委員会中央審議会 → 認証拒否 → 認証 → 還付 → 消費者へ還付
(注意事項)
① 「申込み」できる場所は不動産無料相談所または地方本部(各都道府県)。
② 相談方法は、電話、郵便、FAXによる相談については「受付」致しません。弁済業務については、順位を確保する事が大事なこと。したがって、来所して押印することが必要。
③ 代理人による苦情解決申し出については、委任状が必要。
④ 保証の範囲は、加入会員(加入している不動産業者)1社に対して1,000万円を最高限度として弁済に応じる。
5. マンションの場合
マンションで欠陥がみつかった場合、宅地建物取引業法により引渡しから2年以内の物件では「瑕疵は売主負担において修繕しなければならない」となっています。
つまり、完成時にすでにあった欠陥で引渡しから2年以内であれば、フローリングの施工不良、ドアの取り付けの不具合といったレベルで、売主の負担で補修してもらうことができます。なお、売主から「内覧会で確認済み」といわれ、しばしば問題となることがありますが、当初気づかなかった・・・というのであれば、毅然と補修を要求しましょう。
引渡しから2年を過ぎてしまったら、今度は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(=品確法)」により、住宅の構造上の主要な部分または雨もりの部分については、10年以内であれば売主の負担で修繕しなければならないという法律があります(ただし、2000年4月1日以降に契約した物件に適用される)。基礎、壁や床、屋根のコンクリート、雨漏りまで補修範囲となっています。
この期限を過ぎると、民事裁判で売主に補修を要求することも難しくなりますので、欠陥に気づいたらすぐに対応しましょう。
6. 欠陥住宅の症状例
完成した建物の場合、まず最初に仕上げ面の欠陥に気がつきます。壁のひび割れ、壁クロスのよじれ、床なり、床のきしみ、建具の開閉不良、各部の隙間、水漏れ、雨漏りなどがよくある症状です。柱や壁の傾き、床の勾配などもあります。
これらの仕上げ面での欠陥が、単に仕上げ部分の施工不良によるものなのか、それとも下地組や主要構造部(躯体)に問題があって、結果として表に出てきているのか見極める必要があります。
そのためには、仕上げ面の点検、仕上げに隠れた部分の点検、機器を用いての調査が必要となり、素人による判断が難しいため、第三者の建築士などによる専門家に依頼して調査してもらいましょう。
7. 欠陥住宅の調査項目
欠陥住宅の調査項目については、必要性や状況に応じて変わってきますが、次のものがあげられます。
1. 基礎 ・・・基礎の沈下、基礎のひび割れ・欠損
2. 床 ・・・床の傾斜、床のたわみ、床鳴り・きしみ
3. 外壁 ・・・外壁の傾斜、外壁のひび割れ・欠損、外壁仕上げ材のはがれ・浮き
4. 内装 ・・・内装の傾斜、内装の仕上げ材のひびわれ・はがれ等
5. 天井 ・・・天井のたわみ
6. 屋根 ・・・屋根の変形(はがれ、ずれ、浮き)
7. 室内 ・・・雨漏り・漏水、設備からの漏水、排水不良、結露、断熱不良、建具の開閉不良
― 欠陥住宅の写真例 ―
基礎のひび割れ |
外壁タイルの浮き・はく離 |
断熱材の入れ忘れ |
断熱材の設置不備 |
内装のひび割れ |
天井仕上げ材のひび割れ |
雨漏り |
”調査は慎重に・・・” |
以上の結果から、住みはじめて欠陥をみつけたら、素人判断をせずに第三者の専門家などに、調査をしてもらって下さい。なお、裁判を提起する場合、第三者の専門家に、どのような欠陥(=瑕疵)が存在するか、これをどのような方法で補修するのか、修補費用はいくらになるかなどを調査してもらい、鑑定書を作成してもらいましょう。このとき、法廷で名乗りをあげて証言してくれる専門家に調査を委ねて下さい。
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