欠陥住宅をつかまないために[マンション編]
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安全なマンションに住みませんか?
マンションのパンフレットをみると、広い部屋に安く住める、駅が近い、買い物しやすい街に住める、などの夢がひろがることでしょう。これらはマンション選びで大切な要素ではありますが、パンフレットは消費者心理をついた巧妙な戦略のもとに、PRのプロたちが制作しています。イメージはあくまでイメージに過ぎません。
もっとも大切なことは、そこに住まう人が安心して安全な暮らしができることではないでしょうか。ここでは、マンション編として下記の注意点をまとめてみました。
カテゴリー
施工業者の選び方|設計図書の見方|地震に強いマンション選び|中古マンション購入の注意点|内覧会の検査項目(最終チェック編)
Q1:マンションの施工業者は、どこが良いか教えて下さい。
A:マンション建設は、多くの下請け業者、職人が係わっています。そのため、建物はパンフレットに載っている建設会社が建てているのではないことが多いため、難しい質問です。
一つの選び方として、いいと思う建物に行って、どこの業者が建てたのかを聞く、また、実際に住んでいる人に使い勝手や瑕疵補修に対する業者の誠意等を聞くなどの方法が有効です。
肝心なことは、『工事監理*する能力』が高いマンションを選ぶ、つまり、『監理会社・監理者』が誰かを見極めて、選ぶことが重要です。選ぼうとしているマンションが、どこの『監理会社・監理者』なのか、その『監理会社・監理者』が過去に監理した建物を、実際に見に行く、住んでいる人に使い勝手を聞くのが効果的です。
ずぼらな監理者の監理した建物は、ずさんな出来になっているし、几帳面な監理者が監理した建物は、几帳面にできているものです。
このほかに、新築マンションを購入する場合は、予定居住者(購入者)が連帯して自分達で『工事監理者=一級建築士』を依頼して、工事を買い手側で監理するという方法をすれば、施工上において、かなり安全なマンションが期待できるでしょう(ただし、法的に売主側の工事監理者が必要です)。
*監理するということは、設計図書どおりに工事(施工)されるように指導・監理することであり、同じような工事の監督でも、施工業者で工事職人や技術者を監督・指導するのは工事管理者といって、設計・監理とは意味が異なります。
Q2:設計図書の見方を教えて下さい。
A:マンションの設計図書は、100ページ以上におよぶもので非常に分厚く、素人には判断つきかねるというのが現状でしょう。
設計図書で最初に確認したいのは、「特記仕様書」です。ここには、鉄筋やコンクリートの強度、セメントの種類など、使用材料や施工方法、仕上げ方法などが書かれているので、必ず目を通すようにしましょう。次が「部材断面リストと床伏図、梁伏図」です。これは柱や梁、床の断面の状態を図面にしたものです。そのほかには、「矩計図」「タイプ別平面詳細図」「展開図」「配置図」の確認も大切です。
これらの構造や性能をきちんと判断するには、事前に勉強しておくことが重要ですが、契約前に第三者の一級建築士とともに、一緒に設計図書をみてもらう方法がより確実でしょう。
Q3:地震に強いマンションの構造上のポイントを教えて下さい。
A:ここでは、過去の大地震で被害にあったマンションの特徴から、地震に強いマンションの構造上のポイントをまとめてみました。
- 1階店舗(大部屋式)の俗にいう下駄履きマンションは1階が弱く、被害を被る割合が大きい。
- 1階に駐車場があり、ピロティ形式であるものの地震被害が大きい傾向にある。
- 容積率・建ぺい率違反のマンションで問題が起こっている。
- L型の平面型は地震被害が多い傾向がある。
- H型のつなぎ目に、エキスパンションジョイントのないものはほとんど地震の被害にあっている。
- 高層マンションで、途中階で構造が異なるものの被害が多い傾向がある。
- 鉄骨構造の場合、溶接部分の施工不良のものは、被害を受けやすい。
- 耐震偽装されていないかを確認する。
- 1981年以前に竣工したものに、比較的地震被害が多く、また、補強していなければ今後被害が出る確率が高い。
- 支持杭で固い地盤に建物が固定されている場合、発見されている活断層に平行に建っている建物は地震に強い。
Q4:中古マンションを購入する時の注意点を教えて下さい。
A:中古マンションを購入する時の注意点として、まずそのマンションに欠陥がないか(項目①)、維持管理はきちんとしているか(項目②)を確認しましょう。また、そのほか(項目③)にもマンションに関わる権利・所有関係のチェック、周辺環境のチェック、住民同士のコミュニケーションも確認するようにしましょう。気になる点があるときには、購入前に第三者の建築士などの専門家に相談するとよいでしょう。
①マンションに欠陥がないかを確認する
- 設計図書等をみせてもらい、内容を確認する。
- 過去に雨漏り、床の傾き、壁のヒビ、カビが生えたなどがなかったか。
- 両隣、上下階からの生活騒音が聞こえないか。
- かつて、火災を出したことはないか。または、上階の火災により冠水したことがなかったか。
- 上階から水漏れしたことが過去になかったか。
- 水廻り(便所・台所・浴室・洗面所等)の変更の有無。
②維持管理はきちんとしているか
- 長期修繕計画もなく、修繕も定期的に実施されていないものは、絶対に避ける。
- 必要な修繕費の積み立てのないマンションは避ける。
- 販売会社や管理会社関係の息のかかった理事で構成された理事会のマンションは避けたい。
- 持ち回りでも、理事や役員の当番を回避しない区分所有者の多いマンションがいい。
- 水質検査のほかに定期的に建物検査をしているもののほうが良い。
③その他
- マンションを購入する際には、専有部分と同時に、共用部分の所有関係もチェックする。
(契約書の末尾にある物件目録で調べる) - 等価交換方式で、元地主の持分の多いものは問題が生じる。
- 不在所有者が多いマンションは避けたい。(いわゆる営利目的のマンション)。
- 雑居マンションは問題が生じやすい。
- 企画・施工会社の系列会社が管理しているものに問題が生じやすい。
- 敷地地盤の良いマンションのほうが安全だ。
- 工場等火災時に有毒ガスを発生する施設が近隣にない環境のほうが良い。
- 現在、目の前が空地でも、将来的に開発される可能性がある(用途地域・土地の権利関係を確認する)。
- マンションの自治会活動は活発なほうがよい。
- プライバシーを損なわない程度の助け合いネットワークができているマンションが良い。
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